此処はとても暗い、真夜中みたいなところ。


寝て起きたら此処にいた……

「あのっ……」

すみません、そう言ったら後ろから声がした。



『Good evening、君』



その声は少し低めで落ち着いたようなちょっと楽しんでいるような……


「え、」

誰。

聞けなかった。聞く前に聞かせて貰えなかった。

その瞬間に首になにか鈍い痛みと、
なにかひんやりとした感触が襲ってきたから。



(ズキッ……)

「いた……んっ…」

『ん……美味しいね、君♪』

「!」


振り返ると

彼の口元の真っ赤な液体、
自分の首の鈍い痛み、
思わず自分の首を抑えた手の変な感触。




どうも、そう言いながら彼は綺麗に礼をした。




『どうも、ヴァンパイアの者です』



彼の口元は薄く、静かに笑っていた。