『はいはい、りんごは僕のー』


気付いたら横に知亜希さんがいた。


「知亜希、さん……?」

『君、顔、真っ青だよ?
血、吸われてないよね?』


私は頷いた。


知亜希さんはそんな私を見てちょっとだけ安心したような表情をした。

だけどそれは一瞬で、すぐに男性に向き直った。


『誰ダ、オマエ……ニンゲン寄コセ……』


男性はそれでも態度は変わらずに知亜希さんに向いた。

だけどその男性の顔が徐々に青ざめて……


私は男性の視線の先にいる知亜希さんを見た。


彼は今までから想像出来ないほど恐い表情をしていて
邪悪なオーラをまとっていた。


『てめぇこそ誰だってんだ?
誰の許可で此処にあがってんだ?
そもそもなぁりんごは俺のだ!
勝手に他人様ん家入り込んでるよーなてめぇなんぞに渡してたまるか!』


一気にそう怒鳴った。

男性は逃げるように去っていった。