反応がないから、まじまじと男を観察する。 いいにおいだな、なんて。 見渡せばそこは見慣れない車の中で。 男に目を戻せば、それは見慣れない男の人で。 ただ人の多さから解放された私は、なぜか安心感を抱いていた。 私がきょろきょろとあたりを見回していると、コンコンとノックが聞こえた。 男は、私に覆いかぶさるようにして、ドアのロックを外す。 …ドキドキが止まらなかった。