別に、嫉妬深い訳でも、特段一番じゃなきゃ気に入らないわけでも無い。
運動はあんまり得意じゃなくて、徒競走やマラソンなんかになってしまえば、真ん中や下手すればそれよりも下なんてことも度々あった。
親にだって、必要以上に期待されたこともなければ、出来の良い兄弟がいて、比べられるなんて、裏事情もこれっぽっちもない。
むしろ、あった方がこの醜い感情に格好のつく名前が付いて、体裁が整えられたような気さえしてくる。
ただ、私が勉強が好きなだけだった。
やればやる分、跳ね返ってきて。
やればやるだけ、形になった。
その確かな満足感と静かな充実感
何物にも耐え難いそんな見えないなにかを得ることが好きだった。
特に…
『数学』
理屈を問い詰めていく
きっとみんなが、めんどくさいと投げ出してしまうようなその作業が、この教科が。
私は何よりも好きだった。
不安定なもの、儚いものは嫌いだった。
強い根拠
明確な目的
それが解明出来る理科
筋道を立てて、理論を重ねた数学
私は、何よりも好きだった
それが、2年生の6月にあまりにもいきなり、崩れた。


