姉のようにずっと地元で暮らし、地元で結婚する人も多い。


そのうち子どもができて、うちの父も母も孫にデレデレしながら和やかな雰囲気で過ごすのだろう。

幸せそうな光景でとても安定している。


それなのに、私は年に2回しか会わないあの叔父が、いつも外の空気をまとって目新しいものを身につけて帰ってくる雰囲気と、少しずつ変わっていく言葉のイントネーションに、憧れているのだ。

外の人になりたい。

親族の顔合わせ後、村川さんはうちへ来る時にイチもつれて来ることが多かった。

「一成さんと一矢くんも来てるのよ」

姉がごはんを作る日は、だいたいそうなのだ。

うちのものではない2足の靴が玄関にある理由がわかった。