三日月の恋

家に帰ると姉が、


「おかえり」

と、出迎えたくれた。


私は高校では剣道部に所属していて、練習を終えて帰るのはだいたい8時頃。


公務員の姉はだいたい私よりも早く帰っている。


「いい匂いがする」

シチューの匂いだ。

姉は嬉しそうに笑う。


「今日のはね、なんと夏月(かづき)の好きなカボチャが入ってるの」


冷たくなった鼻の先を軽くこすった。