「やるではないか、じゃないわよ」

両手を握り締め、まだ拳が握れる事を確かめる。

体は動く。

力も入る。

まだ死に体ではない。

闘える!

ここまで圧倒されておきながら、莉々は逃げる気など毛頭なかった。

只のか弱い女ではない。

襲われて悲鳴を上げ、恐怖に震えるだけの娘ではない。

莉々は闘士。

拳と肉体を鍛え上げ、己の身一つで自身よりも大きな男にさえ立ち向かう格闘家だ。

「格闘特区のアイドルを足蹴にした罪、償わせてやるわ」

「罪?罪だと?」

修羅は莉々の発言を鼻で笑った。

「戦場(いくさば)に立つ者が、敵を屠って何が罪か」