「えっ、何ですか?」

莉々が傍らで龍宇に問い掛ける。

「三角飛び猿臂打だ」

龍宇は答えた。

「空手の技で肘を用いて攻撃する事を猿臂(えんぴ)と言う。飛び上がって壁などを足場にして、相手の頭上から肘打ちをするのが三角飛び猿臂打。ただの跳躍からの肘打ちだが、不意を突いて放つと、相手からは目の前の敵が消えたように見える」

人体の部位の中で、最も硬い部分の一つ、肘。

その肘が、落下速度も上乗せされ、全体重を込めて脳天に叩き込まれる。

しかも、相手を見失った無防備な状態で。

鈍器で頭部を殴打されるようなものだ。