修羅は戯れに拳を振るう

嵐のようだった龍太郎が去り、龍宇と莉々は二人になる。

「…君もそろそろ帰った方がいい」

龍宇が莉々の顔を見た。

生真面目な龍宇は、本気で莉々の事を心配しているのだろう。

善意を無にする訳にもいかず。

「り、龍宇さんがそう言うなら…」

もう少し一緒にいたいのを堪えて、莉々は渋々了承する。

「じゃあ送っていって下さい」

せめてもの抵抗は忘れないが。

「いいだろう。女性の一人歩きは危ないからな」

そこまで断る事はせず、龍宇は莉々を部屋へと送っていく。