修羅は戯れに拳を振るう

「んじゃまぁそういう訳で」

龍太郎は腰を上げた。

「龍太郎さん、帰るんですか?」

莉々が訊ねる。

「ああ。俺ぁ莉々の様子を見てくれって、おめぇの親父さんに頼まれただけだしな。家にも、今夜中には帰るって言ってる。帰らねぇと女房と娘がうるさくてな」

豪放な龍太郎も、妻と娘には形無しのようだ。

「そんじゃな」

未練も残さず背を向けて、ヨタヨタ歩き出す龍太郎。

「悪い虫じゃねぇんならとやかく言わねぇが、避妊はしっかりな。莉々の奴いい尻してっから、がっついちまうのは分かるけどよ」

「何の話だ」

冷静にツッコむ龍宇。

「やだぁ、龍太郎さんったら」

頬に手を当て、クネクネする莉々。