修羅は戯れに拳を振るう

「それでこの格闘特区に来たんですね」

莉々の言葉に、龍宇は頷く。

「そうか」

腕組みしていた龍太郎は、難しい顔をして言う。

「とりあえず、莉々に付いてる悪い虫じゃねぇってのは分かった。誤解して悪かったな」

「いや…分かってくれたならそれでいい」

微かに笑みを浮かべる龍宇。

「で…道場の主を務める者として、何か師匠の噂のようなものを聞いた事はないか」

「知らん」

即答する龍太郎。

「知らんが、何か分かりゃあ知らせてやる。道場やってると、色んな噂話も耳に入るからな」

「わ、私もORIHAのネットワークを使って、色々調べてみます!」

莉々も龍宇に言う。