修羅は戯れに拳を振るう

そして師匠は、龍宇の前からいなくなった。

龍宇を破門にしたのか、別の理由からいなくなったのか、目的があったのか、今も生きているのか。

何も分からない。

「だが…あの人は心身ともに強い人だ。死んではいないと思う」

龍宇は呟く。

生きているのならば、今もどこかで技を磨いている筈だ。

会って問い質したい。

何故、活人拳を旨としていた師匠が殺人拳を志すようになったのか。

何故、生きる為に拳を磨いていた者が殺す為の技を磨くようになったのか。

己自身も技を磨きながら。

師匠が立ち寄りそうな場所を訪れながら、龍宇は放浪の旅を続けていたのだ。