修羅は戯れに拳を振るう

とはいえ、少々やり過ぎたか。

男の無事を確認すべく、歩み寄る三沢。

男の顔を覗き込み。

「!?」

思わず咄嗟に飛び退く。

笑っていた。

タイガースープレックスで地面に叩きつけられておきながら、男は笑っていたのだ。

「…頭を浮かせて落とすか…プロレスというのは、何とも優しい格闘技だな」

首をグルリと回しながら立ち上がる男。

「殺す気のない技など、武道でも格闘技でも非ず…只の曲芸よ」

「何」

プロレスを侮辱され、憤る三沢。

そうまで言うのならば見せてやろうじゃないか。

文字通りの『必殺技』という奴を。

三沢は男に詰め寄る!