修羅は戯れに拳を振るう

「あら、お分かり頂けない?」

ツンと澄ました顔で腕組みする娘。

力士はそんな彼女に馬鹿の一つ覚えで突進するや否や。

「!?」

相手の腰に両腕を回して締め上げる、さば折り!

娘の華奢な体が、力士の太い腕によってへし折れんばかりに圧迫される!

まさに背骨を折り砕かんばかりの剛力。

しかし。

「図々しいわね…私をハグしていいのは」

娘は力士の耳辺りを両掌で強打する!

ともすれば鼓膜を破られかねない、危険だが有効な技だ。

「私より強い殿方だけよ」