修羅は戯れに拳を振るう

その心配りが、ますます莉々をしどろもどろにさせる。

「あ、あのっ、龍宇さんって仰いましたよねっ、わ、私の師匠になってもらえませんかっ?」

「…他人に物を教えるほど、俺は武を修めていない」

「じ、じゃあ弟子になってもらえませんかっ?」

「…それはおかしいだろう、まかりなりにも勝ったのは俺だ」

「で、ですよねーっ!」

アタフタと落ち着きのない莉々。

龍宇は莉々の顔を覗き込み。

「大丈夫か」

彼女の額に手を当てる。

それだけで莉々の体温は、大きく上昇した。

「頭を浮かせたつもりだったが…打ち所が悪かったか?」