修羅は戯れに拳を振るう

「決めたわ。南雲 龍宇、貴方、私の対戦相手ね」

さぁかかってらっしゃいとばかりに、拳を握り締めて構える莉々。

白いオープンフィンガーグローブが、ギュッと音を立てる。

が。

「悪いが女性とは闘わない事にしている。その対戦は受けられない」

龍宇は表情一つ変えずに答えた。

「女だからって馬鹿にするの?」

「そうじゃない。女性には拳を向けられない。拳で打つのは気が引ける」

「それが馬鹿にしてるっていうのよ!男女平等パンチって言葉知らないのっ?」

「……すまない、知らない。それも格闘特区のルールか?」

「キーッ!苛々するったら!」

何が苛々するって、生真面目に全て受け答えされるのが苛々する。

「もういいわ!貴方がかかって来ないなら!」

莉々はピーカーブースタイルで突進した!

「私が一方的に貴方をのしてあげるわ!」