修羅は戯れに拳を振るう

「生意気な小娘の生っちろい尻にお仕置きのペンペンしてやる予定だったが」

親方は額に青筋浮かべ、その場で四股を踏む。

その振動で、周囲の道場の建物が揺れた。

「物足りないから前菜と洒落込むか」

「……」

立ち合いの姿勢の親方に、正面から近付いていく龍宇。

体格の割には素早い突っ張りを繰り出す親方の初撃を回避して。

「ふっ!」

そのどてっ腹に回し蹴りを叩き込む!

が。

「ん…?」

親方は涼しい顔で龍宇を見下ろしていた。

そしてお返しとばかり、もう一度張り手!

龍宇の体は、今度は柔道場の隣のボクシングジムの壁に叩き付けられ、壁を突き抜けてサンドバッグに衝突した。