修羅は戯れに拳を振るう

「なぁにぃっ?」

いきり立つ取り巻き達。

そんな彼らを制して。

「つまり俺の方が悪いと…?」

浴衣姿の大男…親方が歩み寄ってきた。

デカイ。

龍宇が見上げるほどの身長という事は、2メートルは優に超えている。

「俺に詫びろというのか、小僧」

「謝罪は求めていないが、どちらに非があるかという話ならばそちらだろう」

毅然とした態度で言った龍宇は。

「!!!!!!」

親方の張り手一発で、背後の柔道場の奥の壁まで吹き飛ばされた!

現役時代、角界の最高位まで登り詰めた男の張り手。

常人ならば鼓膜は破裂し、顎は砕ける。

だが。

「これは」

顔面に張り手の痛々しい跡を残したまま、龍宇は戻ってくる。

「勝負の申し込みと受け取って差し支えないか?」