修羅は戯れに拳を振るう

倒れ込むように回転し、自重に遠心力を加えた踵落としと後ろ回し気味の横蹴りを放つ、胴回十字蹴り(どうまわしじゅうじげり)。

恐るべきは洪の正面でこれを放っておきながら、あまりの回転の速さで洪が蹴りを見切れなかったという事だ。

それ程の回転力で、脳天に蹴りを叩き込まれた。

並の人間ならば立っていられない。

「っ…っっ…」

何事か、譫言のように呟き、そのまま倒れる洪。

龍宇は大きく息を吐いた後、残心を決める。

その後、壁にかけてあった洪の上着を手に取り、倒れた彼の体にかけてやる。