修羅は戯れに拳を振るう

勢いを殺せず、紹興酒の空瓶の入った箱に叩き付けられる龍宇。

「気は済んだか」

ふっ、と息を吐き、洪は壁にかけておいた上着を摑む。

「仕事の途中だ、戻らせてもらう」

上着を羽織ろうとした洪に対し。

「待て…」

龍宇は体を起こした。

「そう急ぐな…俺の技も見ていってくれないか」

「……」

まだ心が折れていなかったか。

ならば。

少々痛い目に遭わせなければ、この手合いは引き下がらぬ。

8割程度の力で、足刀を繰り出した洪は。

「!?」

蹴り足を上段突きで、鳩尾を中段突きで打ち抜かれる!

上段と中段に同時攻撃を行う突き、山突きだ。