修羅は戯れに拳を振るう

「それがどうした」

ギロリと龍宇を睨む男。

「アンタ名前は」

「洪 小狼(ホン シャオラン)」

「洪」

龍宇は視線を逸らさない。

「俺と勝負をしてくれないか」

「……」

通りを行き来する人々は気付かない。

酒家の用心棒らしきこの男と、風来坊が、決闘を始めようとしている事に。

「往来では迷惑になる」

洪は酒家の裏手へと回っていった。

「来い、裏に空き地がある」