修羅は戯れに拳を振るう

座するより動を選ぶ者を、引き止める術はない。

ここは笑顔で送り出すしかないというのに。

「……」

笑って送り出せるほど、莉々は大人の女ではなかった。

つい、しょげ返った顔を見せてしまう。

「…携帯やスマホは持っていないし、使い方もよく分からないんでな」

龍宇は呟いた。

「手紙でいいか」

「えっ?」

顔を上げる莉々。

「旅先から、手紙を書こうと思う。どんな相手と闘ったか、どんな技を身に付けたか、そんな事でよければ…」