殺伐とした戦場に、龍宇の咆哮が清浄さを招き入れたかのようだった。

「殺し、殺され、死に、死なされ…」

修羅がゆっくりと起き上がる。

「そうやって培われてきたのが武道武術だ…そうやって格闘技は研鑽されてきたのだ…その本質を、貴様はまだ否定し続けるのか」

殺す必要がないならば、相手を殴る必要も蹴る必要もない。

相手を痛めつける、即ち殺傷する事が武道の本質。

殺傷なくして武道格闘技は語れない。

それを、人を殺さぬなどと笑止千万。

「人を殺さぬ者は、武道家でも格闘家でもない」

修羅は龍宇を全否定する。

「ああ、俺は武道家でも格闘家でもない」

対する龍宇は、自らを否定した。

否定した上で。

「人を殺す技は使えても、人を殺す為に技は使わない…俺は真の武道家であり、真の格闘家だ」

そう宣言した。