修羅は戯れに拳を振るう

「こぉぉおおぉぉおぉおぉ…」

吸った息を丹田深くまで巡らし吐き出す事で呼吸を整える。

息吹(いぶき)。

そこから。

「!!」

龍宇は一気に高速歩法で間合いを詰めた!

古流剣術に見られる縮地(しゅくち)と呼ばれる技法。

そこから修羅の懐に飛び込み、裏当て!

「ぬ!」

瞬時に肘を龍宇の拳に落とし、裏当てを防ごうとする修羅。

しかし完全には防ぎ切れず、何割かは食らった。

ダメージが背面にまで到達し、修羅の口元から血が流れる。

驚くべきはそこからだった。

龍宇はそのまま修羅に組み付き、巴投げ!

本来は相手を前に崩し、真後ろに身を捨てつつ、片足の裏を相手の腹部または、腿の付け根に当てて、押し上げるように真後ろに投げる技。

だが龍宇は修羅を後ろに投げず、そのまま真上へと蹴り上げた!

そして上空に舞い上がった修羅に対し、序盤に見せた拳、肘、膝を叩き込む対空技を繰り出す!

空中で無防備な修羅に対する三連打。

無慈悲な攻撃だった。