修羅は戯れに拳を振るう

「くくっ…」

顔面を朱に染め、修羅が立ち上がる。

「愉しかろう、肉を打ち、抉るのは」

「何?」

息を乱したまま、龍宇は問い返す。

「悦楽であろう、人を甚振り、肉体を破壊するのは」

打たれっ放しだった修羅の方が、寧ろ嬉々としていた。

「呼吸が激しいな…おかしい、攻めているのは己なのに、技を放っているのは己なのに、何故こんなにも消耗する…そう思っているか?」

修羅の口角がつり上がる。

「教えてやろうか?それは貴様の思っている以上の力が出て、肉体がついていけていないからだ」

龍宇の眠っている力が、徐々に覚醒している。

即ち。

「貴様の『殺意』が目を覚ましている。我を殺そうとしてな」

「ふざけるな!」

標的の側頭部に手刀を叩きつける手刀横顔面打ちを放つ龍宇。

しかし。

「そんな技では人は死なんな」

修羅は容易く手刀を捌く。

「人が死ぬ技とは」

修羅は正拳、貫手、鶴頭、平拳、掌底、手刀、一本拳、虎口などあらゆる拳で凄まじい連撃を放つ!

「このようなものをいうのだ」