修羅は戯れに拳を振るう

龍宇の『武』が、戈(矛)を止める『武』なのか、只の武力としての『武』なのか。

完成されていない武道家だからこそ、まだ伸びしろがある。

「未熟というのは素晴らしい事だ。如何様にも己を変えられる。唯一私が、お前に敵わぬ事だ。私は既に完成されてしまったからな。今の自分からは変われない。だが」

龍宇と莉々の顔を、それぞれ見つめる龍娘。

「お前達には武道家としての輝かしい未来があるのだ。こんな道半ばで、道を踏み外すかどうかなど、誰にも分かるものか。道を踏み外したと分かるのは、本当に道を踏み外した後になってからだ」

未来の事は誰にも分からない。

誰も神ではないからだ。

だからこそ、これから歩む武の道は、どうにでも変える事が出来る。