修羅は戯れに拳を振るう

そこまで説いた上で、龍娘は言う。

「このままではお前は道を踏み外す?結構じゃないか。『このまま』でなければ踏み外さんという事だろう?なかなか親切だな、あの暗殺者は」

腕組みする龍娘。

「事前に忠告してくれたのだから」

「龍娘さん…」

唖然とする龍宇と莉々。

絶望的な宣告をされたと思っていた龍宇にとって、龍娘のその発想は目から鱗だった。

「お前が武道家として既に完成された者ならば手遅れだが、私に言わせればお前はまだまだ未熟。私の弟子の誰にも及ばん。技は優れていても、精神に迷いがあるからな。ならば踏み外す前に道を選ぶ事も幾らでも出来る」