修羅は戯れに拳を振るう

「私は老師だマスター・ロンニャンだと呼ばれるまでに、数多くの弟子を育ててきた。だが育てたのは全員『武道家』だ。『武術家』は一人もおらん」

龍娘の弟子達は、それぞれ個性的だ。

荒くれ者の不良上がり、ひたむきに努力する誠実な青年、惚れた男とつり合う為の自分を作る切っ掛けとする者、体術の研鑽を志しながらも拳銃使いとしての矜持を捨てぬ者までいる。

だが『武道家』だ。

ただの殺しの技として、龍娘流を身に付けた者は一人もいない。

そして彼らは皆、一道場の主として、或いは世界を股にかけるエージェントとして大成している。

「あれらを皆、甘ちゃんの夢想家というのならば、一体一流とは何なのだろうな」