修羅は戯れに拳を振るう

と。

「図星を突かれたな」

言ったのは、莉々と共に観戦していた龍娘だった。

「あの暗殺者も、人殺しの癖になかなか鋭い所を突いて来る。やはり同じ穴の狢という奴か」

「大先生!」

こればかりは莉々も龍娘に反論する。

「龍宇さんは同じ穴の狢じゃありません!」

だがその反論は無視して。

「龍宇」

龍娘は問い掛ける。

「お前は『武術家』か、『武道家』か」

…武術家とは『術』を極める者。

武術の精度、威力を重視し、如何にして相手を倒すかのみに拘る。

対して武道家は、そこに『道』が加わる。

倒す相手への気遣い、己の闘い方、ひいては倒した相手の今後の格闘人生の在りように至るまで。

武道家は生き様そのものをも極める求道者だ。