修羅は戯れに拳を振るう

今度は攻守が逆転する。

手刀横顔面打ち後の隙を突いて、松岡の両肘が龍宇の頭部を押さえ込む!

その状態から飛び膝蹴り!

諸手猿臂飛び膝蹴り(もろてえんぴとびひざげり)。

頭を固定された状態での膝蹴りは躱せず、龍宇の額が割れて流血する。

更に龍宇の脇腹を両手の握り拳の小指側の面で挟み込むように打つ松岡。

諸手鉄槌打ち(もろててっついうち)。

内臓を絞り上げられたような感覚に、龍宇は込み上げるものを押さえる。

「遠慮しねぇでゲロしちまいな!」

そんな龍宇の鳩尾に、熊手での下突き!

「がはっ!」

体をくの字に折りながら、龍宇は血混じりの吐瀉物を撒き散らした。