修羅は戯れに拳を振るう

しばしの黙考の末。

「…わかりました」

龍宇は顔を上げる。

「御高名な龍娘さんの御忠告、痛み入ります。お言葉通り、俺はカーニバルに出場する事にします」

直立し、深々と礼をする龍宇。

「龍娘さん、この度は初対面にもかかわらず、俺のような未熟者の流浪の武道家にまで親切にして頂き、誠に有り難うございました」

「…ずっと思っていたのだが」

龍娘は莉々にヒソヒソと言う。

「コイツお堅いな、もう少しフランクに話せんのか。私は丹下や鬼龍みたいなのの方が付き合いやすくていいのだが」

「仕方ありませんよ、これも龍宇さんのキャラクターですから」

莉々は苦笑いした。