「カーニバルっていうのは、格闘特区で年に一度開催される最強決定戦です」

莉々が説明する。

ストリートファイトが合法とされるこの格闘特区で、予選期間中に数多くの勝ち点を獲得した上位闘士4名が選出され、本戦へと進出。

更に勝ち残った2名が、決勝戦の舞台であるORIHA本社の屋上で闘う事になる。

優勝した者が、名実共に格闘特区最強の闘士という事だ。

「しかし、俺は格闘特区に来て間もない…勝ち点といっても、そう多くの相手とは闘っていないが…」

「対戦相手によって、貰える勝ち点が違いますから」

莉々のような格闘特区で名の知れた闘士や、龍太郎のような龍娘流道場師範といった実力者が相手の場合、例え引き分けでも多くの勝ち点を獲得できる。

龍宇は格闘特区に来て、酒家の用心棒の洪、相撲部屋の親方、莉々、龍太郎らと対戦している。

何れも格闘特区では実力者、四戦三勝一引き分けと勝率もいい。

「あの闘い全て、ORIHAはチェックしていたというのか」

「格闘特区には街中に監視カメラもありますから。ORIHAの情報収集力を甘く見ちゃ駄目ですよ」

驚く龍宇に、莉々はクスッと笑った。