修羅は戯れに拳を振るう

「分からぬまま、俺はこうして腕試しを続けている。答えは闘いの中にあると信じてな」

踵を返す修羅に。

「待て!」

龍娘は声をかける。

「私とは闘わぬのか?」

先程から龍娘の拳は、握り締められたままだった。

一方的に言い負かされ、この怒りをどこかにぶつけてやらなければ気が済まない。

だが。

「値なし」

修羅は振り向きもせずに言った。

「己なりの答えすら持たぬ者に、拳を交える資格なし。歳の頃は同じでも、貴様と俺とでは大きな隔たりがある。それこそ師弟ほどの隔たりがな」

修羅は歩いて道場を出ていく。

「答えすら持たず、拳聖拳聖と幼稚な発言しかできぬ者となど、交える拳は持たん」