しかし。

「やっ!」

その顔もなかなかイケてるいい脚した女は、存外に強かった。

少なくとも道場の門下生程度の手には負えないほどに。

掌打一発で吹き飛ばされて、大の男が大の字になる。

「ようやく習得した猛虎硬爬山(もうここうはざん)…役に立つ技だ。手の皮が擦り剥けても、塩を擦り込んで反復練習した甲斐があった」

自身の繰り出した技に手応えを感じる龍娘。

中国拳法の修行は、どの流派も過酷だ。

文字通り血の滲むような修練を重ね、超人とも言うべき拳法家を生み出す。

「何だこの女…中国拳法を使うのか…?」

猛虎硬爬山のダメージが抜け切らず、まだ横たわったままで咽る門下生。

「中国拳法の一流派、八極拳の絶招(奥義)だ。今は八極拳しか学んでいないが、やがては中国全土の武術(ウーシュー)という武術を習得し、独自の流派を立ち上げるのが私の目標なのだ」

まだ二十歳にも満たない小娘は、八重歯を覗かせてのたまった。