「やぁやぁやぁ!我こそは中国よりやって来た未来の拳聖なり!後の最強拳法家と若かりし頃に手合わせしたと、孫曾孫に自慢話したい者は、こぞって挑戦してくるがよい!」

突然入って来て、腕組み仁王立ちの姿勢でそう豪語する小娘に、空手道場の門下生達は唖然とした。

頭の左右にシニヨン、ノースリーブの裾の短いチャイナドレスを身に付けた女。

名を李 龍娘という。

後に龍娘流中国拳法を興し、結婚して姓も早川に変わるのだが、今は無名の拳士に過ぎない。

門下生が注目するのは。

「いい脚してんな、あの女…」

「顔もなかなかイケてんぜ」

「道場破りか?ならあのいい女を組み伏せる大義名分ができたってもんだ」

そんな邪な部分でしかないのだが。