修羅は戯れに拳を振るう

一通りの鍼治療が終わった後、折れた肋骨を固定すべく包帯をきつめに巻く。

「服を着ていいぞ。なるべくゆったりした、楽なものを着ろ。養生するのにフリル付きの服は必要なかろう」

龍娘は鍼を片付け、今度は持参した漢方を煎じた薬湯を淹れる。

「損傷した内臓を癒す為のものだ。滋味がある。弱った体に効く…まぁ味はいただけんが、良薬口に苦しだ。我慢して飲め」

小さな湯呑みに薬湯を淹れ、龍娘は莉々に差し出した。

それを受け取りながら。

「龍宇さん、もういいですよ。服を着ましたから…別に治療中も居てよかったんですけどね」

莉々は部屋の外の龍宇に声をかけた。

…無言のまま入室する龍宇。

「大丈夫なのか」

「はい、龍娘大先生の治療は抜群ですから」

莉々は微笑む。