「お疲れ!」
「「お疲れ様です」」
キャプテンの一言に私と縁がかえす。
私と縁が席に着くとキャプテンからの話が始まる。
「今年も甲子園予選が始まる。
今年の大和ナインは強力打線が持ち味。
4番の名波にばっかりは任せてられないから、
これからレギュラーは居残り練習をしようと思う」
「「え!」」
多分、当たり前のことを言われたから驚いているのだ。
「内容としては3色バッティング。」
「あ!俺らがやってたやつ!」
3色バッティングは赤青白3色のボールを同時に投げ、
言われた色のたまを打つ練習。
この練習は命と縁が中学時代やっていた練習だ。
「これをこのメンバーでやろうと思う」
この意見にもちろんみんな賛成。
明日から居残り練習をやることが決定した。
「あと、市丸を呼んだのには訳がある。」
「なんですか?」
私が聞き返すとキャプテン及び三年生レギュラーが頭を下げた。
「「「また、あれやってください!」」」
『あれ』とは去年の予選と甲子園でやった応援。
「やるに決まってるじゃないですか!」
私がやった応援は気合を入れること。
去年は記録委員としてベンチに入った私は三振や内野ゴロ、
外野フライで倒れた先輩達の背中を思いっきり叩いて気合を入れた。
叩かれた先輩たちは次の打席ヒットもくはバントや盗塁を決めていた。
私がやった行動一つで試合が動いたこともあった。
「じゃあ、早速行くか!」
「「「はい」」」
私はこのあと洗濯。
先輩たちが使ったタオルを集めて洗濯機に放り込みスイッチを入れる。
「つぎ!」
次は食堂にかけこみ、おばちゃん達ご協力のもとおにぎりを作る。
野球部は基本、みんな居残りをしている。
そのためにおにぎりを大量に作る。
今回の具は梅とおかか、高菜の3種類。
食堂のおばちゃん達5人と私はすっかり仲良し。
いつも、おしゃべりがはずむ。
だから、すぐにたくさんのおにぎりを作ることが出来る。
今日もすぐにできてしまう。
「いつもありがとうございます!」
そう言ってたくさんおにぎりがのったトレーを持っていく。
まずは、室内練習場に持って行って
素振りをしている人たちにおにぎりを渡す。
みんな幸せそうに食べていて私まで幸せになる。
トレーにのっていたおにぎりは一瞬でなくなってしまう。
やっぱ、食べ盛りの男子はすごい・・・。
そのままトレーを持って、食堂へ向かう。
2個目のトレーを持ってレギュラー陣が練習しているグラウンドへ。
トレーを渡すとこれまた一瞬にしておにぎりがなくなる。
トレーをってまたまた食堂へ。
洗い物はおばちゃん達に任せて洗濯機に向かう。
とっくに洗濯は終わっててあとは干すだけ。
すべて干し終わるとレギュラー陣の居残り練習も終わる。
だから、いつも命と縁と一緒に帰る。
これがいつもの日常。
明後日からは県予選だ。