あれから4日後。
今日は甲子園予選のメンバー発表。
練習終わりに発表される。
そのせいか、今日はみんな表情がかたい。
ランニングの時もいつもより声が出てなかった気がする。
バッテリー陣はブルペンに入り投球練習。
「たけぇ!」
ブルペンで命の声が響く。
「ボール浮きすぎ。こんなんじゃ甲子園なんて無理だな。」
確かに、今日の縁の球は高い気がする。
甲子園で甘い球はすかさず外野までもっていかれる。
運悪かったら、スタンドまで。
投手は守備の要だ。
それを一年のころに命は学んでいる。
命も縁も去年からレギュラーに入っている。
縁には出番がなかったものの、命は2回戦で出場している。
先輩キャッチャーが肩を痛めその代わりだ。
6回からの出場だった。
そこでキャッチャーミットを構えた時に感じたのだ。
『投手そこがチームの要。
点を取られなければ負けない』と。
打席に立って感じたことはやっぱり全国レベルの球は違う。
と言っても命は2打数2安打1打点。
やっぱり命は全国レベルのスラッガーなのだ。
「つぎ、右バッターアウトローにカーブ。」
縁は「ふー」と一度息を吐いて1球放った。
「ナイスボール」
縁の球は命が構えたところに収まっていた。
「やればできんのに、なんでやらねぇんだよ。」
そう言ってボールを縁に投げる。
「俺はいつもやってるんだけど」
「縁さ、気分でボールのコントロール変わり過ぎ。」
確かに。
縁の問題点は打たれてからすぐに崩れてしまうところ。
そこは毎回、命が立ち直らせている。
「命!縁!次ノック!グラウンドに来て!」
「「了解」」
「じゃあラスト、右バッター、インコース低めにストレート」
縁は命が構えたところになげる。
「ナイスボール」
そう言ってブルペンをでた。
ノックは徹底的に選手を追い込む。
そのノックが終われば今日は練習終了。
レギュラー発表へとうつる。
そのまえに、選手たちに飲み物を渡す。
「ありがと!」
「サンキュー」
みんなに頑張ってもらうため、私は全力でお手伝いする。
それが、私の役目だからね。