反省会も終わって今は明日に向けての調整。
軽くランニングする程度だ。
私は選択を済まし、監督のもとへ行った。
監督はあまり自分からしゃべる人ではない。
野球部のモットーが『自分で考え行動する』だ。
それは野球だけじゃなくて社会に出ても通用する。
「市丸、ランニング終わったら自主練って伝えといて。」
「はい。」
監督は校舎へと入っていった。
反省会で連絡することは伝えてある。
自主練=自由解散なのだ。
今日はグラウンドをぐるぐると走っている。
グラウンド15周で今日は終わる。
多分もうそろそろ・・・。
「市丸!監督は?」
「監督は戻りました。この後自主練らしいです。」
私が坂井先輩に監督からの伝言を伝える。
野球部のみんなはそれぞれ練習を始める。
素振りをする者、バッティングマシーンを使う者。
自主練のレパートリーは様々だ。
「命。」
「おう。」
そう言って2人はブルペンへ向かう。
何も言わなくても言いたいことが伝わるんだ。
本当に2人の関係はすごいと思う。
「市丸!」
「はい!」
「タオルある?」
「ちょっと待ってて下さい。取ってきます。」
タオルは部室の横にある。
そこまで取りに行く。
「えっと、胡桃先輩のタオルっと。」
タオルは全部油性ペンで名前が書いてある。
タオルを見つけてすぐにグラウンドに向かう。
走って向かうと源先輩がいた。
「お、楽。調度良かった。」
「何ですか?」
私は足を止める。
「名波と二ノ宮、今ブルペンだろ?」
「はい。」
「なら、ある程度投げたら、また3色バッティングするから呼んできて」
「分かりました」
私は源先輩にニッコリ笑ってグラウンドへ向かった。
グラウンドでは胡桃先輩が汗を流しながらバットを降っている。
胡桃先輩はスイッチヒッターつまり両利き。
9番バッターの仕事は上位打線に繋ぐこと。
投手のクセや球種によってどっちで打つか決める。
スイッチヒッターって器用ですごいと思う。
さっきまでは右打ちの素振りをしていたけど今は左打ちの素振り。
「持ってきました」
「サンキュー」
「頑張ってください」
さぁ、次はブルペンに行かないっとっ。
マネージャーって雑用係じゃないんだけどなぁ。