三週間後……

今日は翔が帰ってくる日。

予定より遠征が長くなって今日になった。

楽しみって言われれば楽しみだけど…

やっぱり気になるのは千歳選手のこと。

翔から電話も来て、
ニュースのことはガセって言われたけど…




電話がかかって来たのは3日前。

夜の7時頃に来て、あわてて出る。

毎回遠征の時は毎日電話掛けてくるのに、
今回はこれがはじめてだったから。



柚「もしもし…?」


翔『あ、柚羽?元気?』


柚「うん…」


翔『なんだよ暗いなー!俺が電話しなかったからだよな!ほんとごめんな!』


柚「そんなんじゃないし。」


翔『ごめんってー。怒んないでね?』


柚「怒ってないってば。」


翔『あと…ニュース見た?』


柚「千歳選手の?」


翔『あー、うんうん。あれさ…』


柚「いいよ別に。
本当のことなら本当だって
言えばいいのに。」


翔『いや、嘘だから。
ガセだから!信じてよ、ね?』


柚「いや、あんなにくっついてる映像見て
ガセって…、
別に、私に関係ないからいいって。
翔練習中じゃないの?
練習行きなよ。ほら。
私に構ってなくていいからさ。じゃ…」


翔『待て、って!
本当に、あんなニュース信じるなよ?
俺は柚羽一筋なんだから。』



柚「は……?」


翔『あーーーー。また連絡する。
その件はまた帰ってきたらね。』



そうして一方的にかかって来て
また一方的に切られた電話。

柚羽一筋……

言い訳にしか聞こえない。

彼女じゃないのに勝手すぎる
かもしれないけど、
言い逃れのように思える。

でもそんなこと言われて
期待しないなんてことはない。

でもやっぱり…



そしてまた、今日、
帰ってくる日まで連絡はない。

その連絡を待ってるところ。


今日は休日だから家で勉強してない
といけないのに、
なんか全然集中できない。

千歳選手に1度会って、聞いてみたい。

翔のこと。



『ヴーー』


眠気が襲って来た時、携帯がなった。

期待してケータイを見る。


悟流……。


『翔じゃなくてごめんなー
翔が今から練習見に来ないか、だって。
中沢と陽大と一緒にいるから、
四人で行かない?』


なんで実佳と一緒にいるのかは
今は置いておくとして……

千歳選手も一緒に練習してるのかな。

とりあえず、行く、と返すと
その瞬間、家のチャイムがなった。

お母さんが出たらしく、
私の名前を呼ぶ。

あわてて部屋を飛び出し玄関へ行くと、
実佳と悟流、そして志田くんがいた。



悟「来ないって言っても連れ出そうと思って。
でもまあ行く気だったようだけど。」



悟流が私を見て言う。