このまま教室に戻って、制服に着替えたら、今日の余韻が消えてしまう気がした。 水道で、頭から水をバシャバシャと気持ちよさそうにかぶる男子の列。 ついさっき並んだばかりの、背の高い後ろ姿。 水音と笑い声が、やけに大きく聞こえてくる。 どうしても 近くに行きたくなった。 今日の熱が冷めてしまう前に 一言でいいから あなたと話したくて たいして汚れてもいない手を洗いに、水道の列に加わった。