「あ、そうだ、澪」

「ん?」



周りをキョロキョロと見渡した和が、スッと私の耳元に顔を寄せてきた。


その距離にドキッとしたけれど、和が口にした言葉に急に上がりかけたテンションがガクッと下がる。



「今日からよろしくな。その……水瀬さんとのこと」



周りを気にするほど恥ずかしいんだろうか。そこまで頬を赤らめなくたっていいのに。



そんなに嬉しそうな声しなくたってわかってるってば。





「もう、わかってるって。他でもないあんたの頼みだしね。任せてよ」


我ながら、すごくバカだとは思うけれど。でも、こいつからの頼みはどうしても断れないし。




「澪のそういうとこ、すっげぇ好きだわ。サンキューな」



和のなんとでもない「好き」だなんて、全然平気。