気になって教室の中を覗くと、教室の真ん中で和也が呆然と立っている。


多分、本人も何が起きたかわかっていないんだろう。




「和也」



なんの気まぐれか、俺は奴を呼んだ。


葉山の泣き顔が何故か頭にチラつく。




「……あぁ、千歳」


向こうも俺に気付いたのか、こちらへと来てくれた。




「何があったんだよ」

「……俺も分からない」


思い切って起きたことを聞いてみるけれど、やはり和也も分かっていなかったらしく、気まずそうな表情を浮かべるだけ。