いつもの学校からの帰り道。


いつもなら綺麗だと思うはずの夕日が、今はとても残酷に感じる。


そんな明るい光で照らさないでほしい。





「和 (かず)……そ、それ、本気で言ってる……?」



今聞こえた言葉が聞き間違いだと信じて、もう一度問いかける。


……お願い、嘘だと言って。お願いだから。



そう願っていても、この目の前にいる男──佐久間和也 (さくまかずや) は、見事にその期待を裏切ってくれた。





「あぁ、本気だよ。今お前の後ろの席の水瀬さん、なんだけど……」

「……っ」




和の口から飛び出したよく知っている名前に、信じたくない現実を突きつけられる。



水瀬香織 (みずせかおり) ちゃん。


それは、今私の後ろの席にいる女の子の名前だった。