だから、俺の彼女になってよ。





……また考えてるし。



思わず苦笑してしまいそうになるのを抑えながら、私は席へと戻る。


心のどこかで、辞書を返しにくる黒川くんに早く会いたいと思っている自分がいた。





***




「はいコレ。助かった。サンキュ」




4時間目直前の休憩時間。


言った通りに、ちゃんと黒川くんは辞書を返しに来た。





「次またよろしく」

「もう。どんだけ持って来る気ないのよー…」



悪びれる様子もなくそう言う彼に、思わず笑ってツッコミを入れる。


黒川くんとこんなに普通の会話をしているのが、嘘みたいだった。