「和ーっ!ちょっと来てー!」
そう遠くない距離にいる和に、私は少し迷いながらも大きな声で呼びかけた。
そんな私に気付いたのか、話していた男子生徒と別れてこっちに来てくれた和。
「おー澪。どした?」
私の大好きな笑顔でやってきた和は、私の後ろに目を向けて足をピタリと止めた。
「これ、香織が先生に運ぶよう頼まれちゃったんだって。和、手伝ってあげてよ」
「……え、俺が?」
「そう、あんたが。私このあと行くとこあって手伝えないからさ」
なんて、しょうもない嘘をついて和に香織を任せる。
「え、えー…っと」
「ほらー。女の子1人に持たせる気?」
突然の香織との接触のチャンスに、和は頬を赤らめた。アタフタする和なんて、初めて見る。
香織も香織で、突然の和に驚いている様子。
「和ってば!早く持ってあげなよー。香織重そうじゃん」
でもあいにく、そんな動揺する2人の心境なんて正直どうでもいい。
とにかく早く手伝ってやれ、バカ和。私、もう見てるの限界。
そんな思いが気付かれないように、私はドンと和の背中を押した。



