あぁ、もうだめ。 そう思った、そのとき。 ────グイッ。 「……っ!」 不意に誰かに後ろから腕を掴まれ、一瞬にして視界が暗くなった。 何が起きたのか理解するよりも先に、私の後頭部には手が回っていて、顔はその人の胸に埋まっている。 ……来て、くれた。 さっきまで手でしか感じることのできなかった安心できるその体温で、この人が誰なのかはすぐにわかった。