「……〜ッ」



余りにも不意で、至近距離で。




その言葉が嬉しくて泣きそうになったのと同時に、顔が熱くなるのがわかった。






……なんなの、この人。



笑わないイメージしかなかった彼の、この不意の笑顔にはやられた。






「泣いたり照れたり……忙しいな、あんた。ほら、このまま午後の授業サボろうぜ」


私の反応がおかしかったのか、黒川くんは小さく笑う。


そのまま気付くと、私の左手は彼の右手によって覆われていた。



不思議とそれは嫌ではなくて、むしろ心地よくて。


そのまま私は、黒川くんにたくさん話を聞いてもらった。



私の左手は、いつのまにか彼の手を強く握り返していた。