Time Paradox

その名刺には具体的な場所はなく、ドーラの声での案内により森の奥に姿を現した。

ガラクタを寄せ集めたという表現がぴったりな雑多な古屋ではあるが、ノックをするとすぐに彼女が顔を出した。

「ようこそ、私の小さなお城へ。」

ドーラはにこやかに迎え入れると、これまたガラクタだらけの小さな部屋の椅子にロイドを座らせた。

「今お茶を淹れるからねぇ…あら、お酒の方が良かったかい?」

「いえ、お気遣いなく…。」

ロイドはまだ陽が高い時間帯にも関わらず酒を勧めてくるドーラに、彼女の生活感を垣間見たような気がした。

だがドーラは軽く返事をすると、戸棚にあるティーカップに指一つでお茶を淹れ、お茶の入ったカップをまた遠隔でこちらに運んで来たではないか。

「…ただの酒飲みばあさんだと思ったかい?」

悪戯っぽく笑い、昼間からウイスキーを煽る彼女は、不思議と年寄りの女にも子供のような顔にも見えた。

「失礼を承知で聞きますが…ドーラさんは一体何歳くらいなんですか?」

気まずそうに訊ねるロイドに、ドーラはケラケラと笑いながら"レディーに年齢を聞くもんじゃないよ"とだけ答えたが、少し間を置いてから付け加える。

「まぁあんたの言いたいことはわかるけどね。普通の人間の人生3周分って所かな。」

どんな魔法使いにも寿命はあると聞かされていたロイドだが、それを覆すほどの魔法使いがいた事に目を丸くした。

「そんな反応されても困るがね…まぁいい。そんであんたは奴らを見返したいからここに来たんだろ?
早速聞かせてもらおうか。」