「…リリアーナ様、そろそろ終わりにしましょう。」

イザベラがこう言ったのは、リリアーナがデイジーの部屋から戻ってきてしばらくしたあとだった。

さっきから手にしていた瓶の中身も、残り三分の一である。


「…んー。これ飲み終わったらいいわよー?」

リリアーナはそう言うと、残りのワインも一気に流し込んだ。


リリアーナはそれを飲み干すと、勢いよく瓶をテーブルに置いた。

「ごちそうさまでしたぁっ!楽しかったわ、イザベラ!」

「あ、リリアーナ様!部屋まで…」

「大丈夫!私が自分の部屋まで帰れないおバカさんだとでも?」

「で、でも…」

それでも引き下がらないイザベラを手で制し、リリアーナはふらふらと歩き出した。

イザベラは心配そうに見送ったが、この部屋からリリアーナの部屋はそう遠くないはずだと考え自分の部屋へと引き返した。



そのころ、リリアーナは廊下であくびをしていた。

ここ最近疲れていたのとあれだけ酒を飲んだということにより、今眠気が襲ってきているのだ。

リリアーナはもう一度あくびをすると、その涙で霞んだ視界の端に二人か三人掛けの椅子が置いてあることに気が付いた。

城でも屋敷でも、長い廊下や広間には等間隔に長椅子が並べられているのだ。


「ちょうどいいじゃな〜い!」

リリアーナはふらふらとその椅子に向かって歩いて行くと、深く腰を下ろした。

そしてそのまま椅子に横になり、気持ち良く睡魔の波へと身を委ねた。